ほんの少し歯をいじるだけで、全身に様々な反応が出現いたします。 私は、39年前(18歳の時)、左下の第一大臼歯の噛む面に、アマルガムをつめて もらいました。その数時間後に、左の、ひどい偏頭痛が起き、上下の歯を 噛み合わせると、アマルガムをつめた歯がとても痛くて、夕食はいつもの 半分もたべられず、噛み合わせることもできず、呑み込むだけでした。 そのうち、左の手首がひどく痛くなった。その夜は、ろくに眠ることも できなかった。翌朝早く、自分で鏡を見ながら、アマルガムを少し削つて みました。すると、歯の痛みもとれ、つづいて偏頭痛もウソのように治 りました。それから数時間後には、左手首の痛む部位も変化し、痛さも 軽くなりました。この、自分の身体を通じての、いわゆる体験によって、 歯や顎の微妙な変化が、全身に運動することが解ってまいりました。 私は、歯をいじることのこわさを、イヤというほど体験したし、これからも 体験していくことになります(歯がある以上は・・入歯でも歯ですから・・)。 そういう過程で、最も注意しようと思つていることがあります。 それは、『・・歯の場合も、痛みはもうそれ以上削つてくれるなという 歯髄組織からの警告反応である。この警告反応が出されているのを、 麻酔注射をして消してまでして歯を削れば、歯髄組織は破壊され、その果ては 死滅することになる。 歯髄の死は歯全体の死につながっていくのである。こういった治療のやり方は、 一種の銀行ギャングの金庫破りの手口と一緒である。ギャングは、仕事中に 警報機が作動して鳴り出せば、必らず電源なりコードを破壊して警報を止めて 仕事をつづけ、目的を達成するというわけで、歯科治療というものは このやり方によく似ていて、きわめて非生物学的なやり方であるといえよう。 ・・』(解剖学入門一咀嚼システム解明への道・東京医科歯科大学名誉教授 窪田金次郎著)この言葉を決して忘れないようにしよう一一と。 あなた(読者各位)も、とくとお考えになってください。お二人の教授の序文に ありますように、この分野の教育は確立しておりません。そのような現時点で、 不用意に歯をいじるのはいかがなものでしょつ。本文中に見られるとおり、 良くなる場合もあります。歯を、顎を、ちょっといじるだけで、種々な症状が 軽快するということは、反面、悪い症状が出現する場合もあるということです。 歯をいじる場合、充分に気を付けてくださいませ。 重複いたしますが、出来ましたら『歯とからだ』(径書房発行)をもお読み くださるよう願つております。また、歯科界の方々にも再度お願いいたします。 本文を読んだだけで、見ただけで、一度やってみようか・・とは思わないで ください。責任はもちかねます。