T歯磨き病U知ってる?



 

T歯磨き病U知ってる? 「歯の一律管理」は不健康 食後には自然に再石灰化 一日一回で十分 まず心や体丈夫に 固定観念・従来の常識を覆せ


歯磨き指導では当たり前になっている「食べたらみがく」に 疑問の声があがっている。 「歯周病より恐い『歯みがき』病(アドア出版・千四百円)の箸者、 志村則夫・東京医科歯科大学助教授は、 管理され強迫観念に駆られて磨くよりも 「一日一回の歯みがきのほうがずっと健康的」と言う。 「食後ゆっくりお茶を飲みすぐ歯をみがかない」 「甘いものを食べ、おいしいと思う心が抵抗力を高める」など 、従来の常識を覆す提言をする。 Tいのちを育てるU歯科医療を提言する同助教授に聞いた。


 
「むし歯も歯周病も本質的には、口の中にではなく、人間のいのちに起こる病気」
ーーむし歯の研究一筋に三十年という志村助教授がたどり着いた結論だ。
 むし歯の早期発見、即時治療に主眼を置いた過去の歯科戦略でひどいむし歯が減
り、歯が残るようにはったのは確かに一つの成果。しかし 口の中だけの現象を
とらえた対処療法や一律の管理指導によって、からだや心は無視さ れてきた。
現代病の増加が示 すように、本当に健康になつたとはいえず、本来在るべき
 人間を育て、いのちを育てる という視点で見つめ直す時期です」
 好きなお菓子も我慢し、食べたら直ちに歯をみがくことが「歯のため」と
思い込んでいる患者に現代の悲劇を感じるという同助教授は、こうした現象を
「歯みがき病」という。
「歯科疾患は口の中の常在菌が原因。通常は人間とうまく適応しているが、
心身が弱まると病気を引き起こす。従来の観念にとらわれてやみくもに
歯をみがくのではなく、心やからだを丈夫にするという発想が大切。
 一般常識では、「甘いものは歯の敵」だ。
確かに食べた後は、口中の酸で一時的に歯の表面が溶ける。
しかし、人間には生理状態を元に戻す働きがあるから、三十分もすれば再石灰化する。
そういういのちの仕組みを信じ、甘いものを食べればおいしいと思う心を
育てたいという。生活リズムがきちんとしている子や社会的な適応能力
が培われ自立心のある子は、歯の病気にかかりにくいことが過去の研究から
分かっている。学校では友達関係の豊かな子、学校が楽しいという子ほど、
その傾向が強い」乳児院で暮らす子供にはむし歯が見当たらないという
興味深いデータがある。歯みがきは朝食前に一回のみ、大ざっぱにみがく程度で、
間食には情緒を安定させるため積極的に甘いものが与えられており、
従来の常識では考えられないことだ。
珍しくむし歯 になった子の背景を探つてみると里親に引き取られたなど
乳児院以外での生活経験 を持つ子だったことから、 乳児院の規則正しく自立心を
養う生活習慣が大きな要因であることが分かった。
英国やドイツなどでも同様の報告がされているという。
「規則正しい生活は大事だが、押しつけの保健指導では長続きしない。
管理された子どもは人間的に成長するチャンスを無くしてしまうことを再認識し、
学校でも『食後に歯をみがこう』の一律指導ではなく、自分でからだや歯の状態を知り、
どの程度みがけば良いか判断できる自立した子を育てることを目標にして ほしい」」
志村助教授自信、一日一回の歯磨き派という。ただ疲れると歯ぐきの出血など口腔の
状態が悪くなるから、そ ういう時は歯磨きを一回増やし丁寧にブラッシングする。
心身や口腔の状想を知る ことでどのくらいの時間、何 回みがけば良いかを自分で
決 める、セルフケアがポイントという。人間の本質から歯の健康を考える、
こうした視点は学校歯科の現場にも少しずつ浸透しつつある。が、頭では分か
っていても、いざ実践となると従来の固定観念を破れないという先生が多く、
志村助教授は「実体験から学んでほしい」と全国にT出前講習会Uを展開
しようと考えている。
詳細は、東京医科歯科大学・予防歯科 電話 03-5803-5478
                  FAX 03.5803.0194まで

固定観念・従来の常識を覆せ


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